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2015年3月20日金曜日

カンフーガール

少し前に、ひょんなことでワシントン州のワインについて調べてレポートを書きました。

アメリカのワシントン州というのはもちろんD.C.とは異なり、西海岸最北の州です。スタバとかマリナーズで有名なシアトルがある州。ここはワイン産地としても全米2位の生産量を誇ります(1位とは大差なんですが)。シアトルは雨が多いイメージがありますが、ワイン産地はもっと東側で、雨がほとんど降らない荒野です。つまりブドウ栽培に適している。テロワールが素晴らしいのです。

しかし、地味ぃぃぃ!!
なぜかというと、今は品種ありきで産地や好みを語る時代。カリフォルニアはカベルネソーヴィニヨン、お隣のオレゴンはピノノワールというスター品種があるのに、ワシントンにはない。玄人受けするラインナップながらホームランバッターがいない野球チームみたいなものなのです。

(というお話は、すべて"Washington Wines and Wineries: The Essential Guide" (Paul Gregutt著)に寄りかかって書いております)
 
あんまり日本でも意識されていない産地であるため、見かけることも少ないのだけど、その中でも比較的有名なワインは、やはりチャールズ・スミスじゃないだろうか。白黒でロックテイストなラベルを見たことがある人も多いはず。私はこの間、立川のふつーの焼肉屋さんにオンリストされているのを見ました。

今回は気まぐれに買ったこれ。



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カンフーガール  (KUNGFU GIRL)
産地: アメリカ、ワシントン州
生産者: Charles Smith Wines
ヴィンテージ:  2013年
品種: リースリング100%
アルコール度数: 12%
価格: 2400円程度
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色はリースリングにしてはやや濃いのかな?上の写真よりちょっと濃い気がする。
香りは、レモン、ライム、白い花、リンゴ (ワイナリーのサイトにはフジリンゴって書いてある)。そしてかすかに灯油香。おお、やっぱりリースリングだなぁって感じる。

味は、抜栓したてのときはもっとシャープに突き抜けていた気がする。酸味も元気いっぱいだった。高貴なリースリングというよりは、エネルギッシュで味が凝縮されているようなリースリング。でもリースリングらしい上品さは失われていない。

今飲んでいるのは、小瓶に移し替えてしばらく置いていたもの。角がとれ、やや甘やかな顔も見せる。

このリースリング、好きだな。気温が上がってくると、赤より白を飲みたくなるんだけど、そういうカジュアルな飲み方にぴったりだと思う。私はわかりやすいワインが好きなので、ドイツやアルザスより好みかもしれない。

上の本の著者は、ワシントン州のスター品種候補としてセミヨンを挙げていたけれど、私はリースリングのほうがいいと思うんだなー。だって、こんなにキュートで元気いっぱいで上品なリースリング造れちゃうんだもの。そんな土地、なかなかないよ!(たぶん)

2015年3月17日火曜日

【自分メモ】ここ数か月で印象に残ったワイン大集合

お店やお友達のおうちで飲んだワインもテイスティングコメントを残せればいいのですが、だいたいメインのワインが出てくる頃には酔っぱらっていますので、「あれ、おいしかったよなー」くらいにしか思い出せないもの。

昨日今日とちょいとやさぐれておりましたので、自分メモで「あの時よかったなー」というワインをひたすら挙げていく自己満足エントリです。

大体去年 (2014年) の12月あたりから。

 ↑は、Domaine YOYO。ラングドックのビオです。ビオなのに、6000円前後という強気お値段。でもなかなかお目にかかれないし、おいしいんですよねー。別の種類のがあと2本あるので、できれば1本はテイスティングエントリを書きたいと思います。


  ↑は、日本ワイン会。イセハラの2014のリリースは今年の10月までおあずけなので、2013は貴重。あと、シャトーメルシャンの桔梗ヶ原メルローは、日本を代表するワインでしょう。常に3万円のコストがかかった1万円のワインという情報が頭をよぎりますが、やはりすごいワイン。これ以前にも飲んだことがあるのですが、10年くらい前のヴィンテージでもまだ若々しかった。


 これは日本ワインじゃないけど、ニュージーランドで造られているKusuda。ニュージーランドを代表するワイナリーの1つと言っていいんでしょうね。ものすごくおいしかった。前にシラーを飲んだのですが、ニュージーランドのシラーってオーストラリアのシラーズと全然違うんだなーと。Kusudaのレベルが高いだけかもしれないですけど。


 モレ・サン・ドニのプルミエクリュ。ブルオタの方が持ってきてくださったんですが、うまかったわー。

シャトーディケム様。言葉は要りません。生きててよかったw

 クリスマス直前に、お世話になったお友達に持って行って、ほぼ1人で飲んできたテタンジェ。


まだ飲んでないけど、ボーペイサージュが1本だけ当たった。ツガネのメルロー。うれしい!


たぶん、すごいバローロ。


お正月にウチで開けたボランジェ。映画ファンには007のシャンパーニュと言ったほうがいいのかな?生活感いっぱいですみません。


 友人夫妻と三茶で飲んでいたら、なんとしれっとヨイチノボリのパストゥグランが黒板にオンリスト。お店の方に「これホントにあるんですか?」と思わず聞いてしまった。お店の方はニヤリ。うふふ。これが初ドメーヌタカヒコでした。あまり飲めない友人のだんなさんも結構飲んでいた。パストゥグランだからガメ (追記: ガメは間違い。ツヴァイゲルトです) とピノですが、めっちゃおいしかった。
ちなみに、「愛と胃袋」っていう、ご飯もとてもおいしいお店 ↓

 
 
 

 これはキムラセラーズのピノ。これもニュージーランドのワイン。素晴らしかった。


 これ、見るからにすごいボルドー、サンテミリオンの格付けワインなんですが、持参したご本人が間違って持ってきたという話もあり、ノーコメントw


 ローヌといえばギガル。コンドリューでヴィオニエまで造っているとは知りませんでした。めっちゃおいしかった。ヴィオニエ愛してる。

で、これは今年のベスト3に入る。ベスト1かも。ボーペイサージュのカベルネフラン。こんなキュートなカベルネフラン、初めて。私のカベルネフランのイメージをがらっと変えた。素晴らしすぎる。


 この間飲んだ、ヴァン ド ミチノク。Facebookでワインバーやジャーナリストのみなさまが挙げていたので、飲んでみたかったのですが意外なところで飲めました。ヤマブドウとマスカットベーリーAなど、まぜこぜな感じが良い!
経緯などはこちらのブログに詳しい。全然関係ないけど、ピュズラボノームの雰囲気もちょっとだけ感じたりして。来年も飲めますように。

東北では、山形や福島はワインの銘醸地なんです。

 身震いするようなボトルが並べられたのですが、選んだのはこちら。

 ボンヌ・マール、グランクリュ。幸せすぎてしにそうになった。

2015年3月4日水曜日

シュナンブラン月間: サヴニエール・クレ・ド・セラン

ついにやってきた、シュナンブラン月間のメインイベント。サヴニエール・クレ・ド・セランですよ。一部で言われていますが、フランス5大白ワインの1つ。

このサヴニエール・クレ・ド・セランは、ニコラ・ジョリーというカリスマが7 haだけ単独所有しているAOC。

ニコラ・ジョリーは、何と言っても、ビオディナミの伝道師。

ビオディナミとは何か?ビオディナミと自然派の違いは何か?

ビオディナミ (英語ではバイオダイナミクス) は、シュタイナーが提唱した理論に則った (ややオカルトチックな) 農法。私はスピリチュアル系が苦手なので、ビオディナミってなんだかなぁと思っていたのですが、本当においしいワインを飲んで以来、しぶしぶではありますが、結果としての産物を大いに認める派 (笑) です。

「自然派ワイン」や「ビオワイン」(フランス語ではヴァンナチュール) は、一般的には有機農法で栽培され、醸造時にもできるだけ作為的な工程を避けるワインだと思いますが、「何が自然か?」はとらえかたによってさまざまで、明確な定義はありません。曖昧でロックです。ただ、ビオディナミはその一派ということができるでしょう。
威厳ないわー、この写真w

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サヴニエール・クロ・ド・ラ・クレ・ド・セラン (SAVENNIERES CLOS DE LA COULEE DE SERRANT)
産地: フランス、ロワール地方
生産者: NICOLAS JOLY
ヴィンテージ: 2010年
品種: シュナンブラン 100%
アルコール度数: 15.5%
価格: 6000円程度
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ひえー、アルコール度数15.5%って、白にしては非常に高い。ボトルの裏ラベルにも書いてあるのですが、かなり熟すまで待って収穫していることと、収量を抑えていることが、糖度を上げて (アルコール度数を上げて) いる理由なんでしょう。

色は濃い。もうオレンジに近い麦わら色。
香りは、少しセメダインぽい匂いがする。これはビオ由来というより、シュナンブランの個性かも。嫌な感じではない。火打ち石って表現したほうがいいのかもしれないけどw
アプリコットや梅っぽい香りとミネラル感。

飲めば、うっとりするような芳醇さが広がる。一方でスルスルと入り込んでいく親しみやすさも。温度が上がると、最後に酸味が追いかけてきます。甘味と酸味が舌の周りで絡み合う。

本来はデキャンタージュするか、抜栓してしばらくおくほうがいいようです。
温度も冷たくしないで。

私の貧しいボキャブラリーでは表現できないのですが、ホントにおいしい。
今回はお勉強のために大枚はたきました。
わーん、お金ないけど、また買っちゃいそう!

そういえば、最近見たニュースで、ニコラ・ジョリーがロワールワイン委員会を脱退したってのがありました。ロックですなぁ。