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2014年9月18日木曜日

ワインエキスパート試験のあれこれ 3: 2次試験・メンタル面のこと その2

肝心の試験は朝10時スタート。ほぼ緊張することもなく開始の合図を聞くことができました。

ワイン4種と、ワイン以外の飲み物2種を50分でテイスティングし、ワインについては外観、香り、味、総合評価、収穫年、産地、そして品種をマークシートで回答します。結構時間はギリギリです。

まず、あかんかったこと。
最後に飲んだワイン以外の飲み物をどっちも外した。特に自分で日本ウイスキー (選択肢では「シングルモルトウイスキー」となっていたんだが、あれはスコッチじゃないから、たぶん日本) はタイミング的に出そうだよねーと事前に言っておきながら、何をトチ狂ったか最後にアルマニャックに変えてしまった。わああああ、私、やっぱりアホすぎる。このショックがその日1日、どんより尾を引いておりました。

そして、肝心のワイン4種。

これまでの試験では、白2種、赤2種のうち、基本品種 (白: シャルドネ、リースリング、ソーヴィニヨンブラン。赤: カベルネソーヴィニヨン、ピノノワール、シラー) から3種と、変わったやつが1種出るパターンが普通。変わったやつは多くの人が間違えるので、偏差値に影響が出ない。だから無理をせず、「ちょっと違うかな」と思いつつも、基本品種を選択しておくのが無難。万が一基本品種が正解だった場合に、大打撃となるからです (これを教えてくれたアカデミー・デュ・ヴァンの講師、下川広司先生は、自身が受けた時、テンプラニーリョだと分かっていながら、あえてカベルネソーヴィニヨンと書いたと言っていました)。

今回は、それが如実に出た試験でした。

最初の白2つは、甘めのリースリング (ドイツ) と、ソーヴィニヨンブラン (ニュージーランド)。これは瞬殺で、外す人はほとんどいないはず。

よし、余裕!と調子に乗りかけたときに飲んだ赤が本当に難しかった。3番目はこの色と香りはピノっぽいんだけど.....酸味が乏しいよ?4番目は、生臭い味とも言えるんだけど....なんだろこれ??と逡巡。しかし、選択肢にあったサンジョベーゼとメルローを選択する勝負には出ませんでした。準備期間で、サンジョとメルローはあえて飲まないようにしていたので、そもそも選ぶべきではない。でも、「ピノじゃないかも」「これは分かんない....ひょっとして...」と思ったときの葛藤と誘惑ってすごいもんですわね。まさに、自分との (ムダな) 闘い。

結局、正解はカリフォルニアのピノノワールと熟成が入ったフランスのシラーという王道中の王道だったのですが、シラーは産地を間違えたし (落ち着いて考えたら、確かにフランスだったわ....)、どれもヴィンテージは外してますが、品種は4つとも当てたので良しとしておきます。今回は品種の振り幅ではなく、年数と風味の変数の幅で攻めてきた、ということなんでしょうかね。

結果発表は10月3日。一応、6品種中3つ当たれば合格圏内と言われています。
コメントがこっぱずれていたらとか、マークシートで記入を間違えてたらとか、まだドキドキ要素はありますが、それは事故なのでしょうがない。そうだったら、また来年がんばります。

それにしても.....こうやって書いていると、あまりに紙一重な選択ばかりで、思い返して胸が苦しくなりました。メンタル弱いがな.....

(メンタルがテーマなのに、8割違うこと書いてますね。ひゃー、ごめんなさい)

【最後に】
温かいメッセージをくださった方、そっと見守ってくださった方にこの場を借りて御礼申し上げます。どうもありがとうございました。

メンタル面を強く!と言いつつ、一部の方にはパニック寸前のアワアワ状態を受け止めていただいたこともありまして、感謝してもしきれません....。

2014年9月17日水曜日

ワインエキスパート試験のあれこれ 2: 2次試験・メンタル面のこと

昨日、日本ソムリエ協会の呼称資格 (ソムリエ、ワインアドバイザー、ワインエキスパート) 認定試験の2次試験が行われました。ワインエキスパートの2次はテイスティングです。
放心状態だったのが段々落ち着いてきたので、覚えているうちに感情面について書いておこうと思います。
(受験テクや勉強法については書いている人がいっぱいいるので、あえて詳しく書きません)

1年に1度しかチャンスが巡ってこない試験というのは、ただの趣味の資格とも言えるワインエキスパートでも異様な緊張感を感じます。
緊張するなというほうが無理です。

1次試験では直前の1週間で極度に緊張し、「落ちたらどうしよう」と考えるあまり、疲れきってしまいました。
2次試験ではその教訓から、メンタル面で負けないように心がけていました。1次試験から2次試験までの時間は1か月弱。現実的に考えて、こんな短い期間でテイスティング能力がググっと上がるわけもない。だとすると、メンタルで自分に勝てるかどうかが重要になってくる。

一度テイスティングで、ロワールのソーヴィニヨンブランをアルザスのリースリングと間違えたことがあって、ソーヴィニヨンブランの青臭さを嗅ぎ分けることに絶対の自信を持っていた私のショックと言ったら....。でもこのおかげで、更にロワールのソーヴィニヨンブランを1本買い足し、徹底的に練習することができました。痛恨のミスや衝撃的な間違いも試験前であれば、深く落ち込まない。

自分の記憶力のなさや要領の悪さとも向き合う必要がありました。自分へのガッカリ感半端ない。今更こういうどうしようもない資質のなさを突きつけられて心が折れそうになるわけですが、バカな自分とも折り合いをつけてボチボチやっていくしかない。そもそも何に対しても、才能なんてあった試しがないのだから。

スクールで受験テクニック以外で言われるのは、「本番で何が起こっても動じないように」ということ。えーっ、どうしたら (電車で悪臭漂わせる人が密着したり、変な人が隣の席だったり、前の人が飲み物こぼしたりしても) 動じずにいられるのよーーっと言いたくなるけど、これも自分への暗示という練習をすれば、ずいぶん違います。

どれもこれも、自分に必死に言い聞かせている感が痛々しいとはうっすら気づいているものの、こうやってわざとらしくも刷り込んでいくと、徐々に身になっていくことも感じていました。翻訳の仕事で何年もかかって無意識に積み上げてきたプロセスを一気に意識的に体験していくような、何年もの積み重ねがあって自然に口から出てくる意見をセリフとしてしゃべるような、そんな興味深いプロセスではありました。

試験前夜には、応援してくれた人たちのことを思い返し、本当に感謝の気持ちでいっぱいに。私って幸せ者だわーと思いながら、夜道を歩いておりました。

(長くなったので、本番については次に持ち越し)