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2015年7月22日水曜日

「努力せずにワインジャーナリストになろう」その4

このクラスも、もう4回目となりました。
クラスの雰囲気がどんどん良くなり、そしてみんな書くのが楽しくなっています。
「来期も取りたいなー」という人も。私もです!

前回は女性誌にチャレンジしましたが、今回は男性誌に挑戦。
もう極端なのいっちゃいます!

「LEON」
そうです、テーマは「モテるオヤジ」一択のあの雑誌です。

もちろんその前に、どのような雑誌かをリサーチするために買ってみました。

1. 基本、ですます調である
2. 「モテるオヤジ」という言葉が登場しない特集記事がない
3. なぜかハートマーク多用
4. カタカナ成分多めだが、昭和な言葉遣いも欠かさない

ジローラモさんやその他の「濃ゆい」モテ系おじさんが、お人形さんのような若いモデルさんと手をつないだり、抱っこしたり、やりたい放題のパラダイスな誌面。

そこで、畏れ多くもそこに書く体で、日本ワインを合わせて書いてみました。

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モテるオヤジが腕をふるう手料理。合わせるのはキリリと「甲州」!
 

キメもハズシもお手のもの。ビシッとスーツでエスコートし、夜な夜なBARラウンジでグラスを傾けるのが日常なら、たまには自宅で手料理を振る舞いながら1杯飲む非日常もいいではありませんか。ほんの少し凝った男の料理には、さりげなく華を添えてくれるワインが必要。自己主張の激しいグランヴァンはあえてのお休み。今宵は、優秀な執事のようにきっちり仕事をしてくれる日本の白ワイン品種、甲州に登場をお願いしましょう。 

今の旬は、なんといっても鮎。シンプルな塩焼きでも十分サマになるのがうれしい。鮎といえば独特の苦味がありますが、甲州の特徴もほのかな苦味。特にオリと一緒に熟成させるシュールリー(オリの上の意)という製法を使って味に複雑さを出すのが一般的であり、苦味との相性がよいのです。たとえば「シャトー・メルシャン 山梨勝沼甲州」なら、カボスやすだちのようなスッキリ感と、程よい渋みとミネラルが鮎の魅力を引き立ててくれます。 

「甲州は香りに乏しくてロマンに欠けるから、ちょっとね」という御仁もいらっしゃるかと。そんなあなたにはこれ、「アルガブランカ ビニャル イセハラ」。ちょいとレアなところもオヤジのヨコシマな心をくすぐりますが、驚くべきはその香り。グラスに注ぐと、グレープフルーツのようなアロマが立ち上ってきます。酸もフレッシュ。さらに旨味も感じるので、天ぷらなんていかがですか。特に小柱のかき揚げなど、魚介類とのマリアージュが最高。余韻も長く、思わず2人で顔を見合わせて微笑むような時間が待っています。
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正直、雑誌を読んでいると「うわ....」しか感想がなかったのですが、個性が強いものって書いてみると楽しいもんですね。モテるためにどうするかという記事しかない潔さにも心を動かされ、モテ系オヤジを追求したくなっています。そこまでモテる必要があるのか甚だ疑問ですが。クラスメイトの男性からは、「男のハーレクインロマンスじゃないですかね」と言われました。


葉山先生が華麗なオチをつけてくださったんですが、ハードコピーしかないので、またいずれ公開したいと思います。

2015年7月1日水曜日

「努力せずにワインジャーナリストになろう」その3

(長文です)

1か月はあっという間に過ぎ、また授業の日がやってくる。

引き続き日本ワインをテーマにしつつ、想定媒体は女性誌に変えてみることに。いくつか雑誌を買って検討してみたのですが、「女性の名前がついた薄い雑誌」に決めました。

まずは文体をチェック。常体なのか敬体なのかもわかりづらい。ひとつには、体言止めや形容詞の言い切りが異様に多いから、というのがあります。んー、よし、それで押し切ることにしよう。

今回は品種推しにしたい。はじめは甲州でしょ、ということは頭にあるものの、ここ数か月甲州をまったく飲んでいないことに気づき、それは次回に回すことに。では、取り上げるのは、やっぱり赤の代表、マスカットベーリーAです。

甲州よりは飲んでいるものの、品種としては苦手な部類に入るマスカットベーリーA。意地になって挑戦しているような気もするけど、これをいかに売り込む文章にできるかやってみよう。

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ふだんごはんをチャーミングに!日本ワインなら、マスカットベーリーAはいかが?


国産のブドウで造る日本ワイン。白ワイン用のブドウ品種では甲州が有名ですが、赤ワイン用の品種もちゃんとあるんです!その代表選手が、マスカットベーリーA。「日本ワインの父」と呼ばれる川上善兵衛氏が、昭和の初めに日本の風土や食生活に合わせて交配しました。いちごやザクロを思わせる華やかな香り。辛口でも、ほのぼのとした甘酸っぱさを感じるフレーバーが特徴。ワイン初心者から上級者まで親しめるキュートな味わいです。そのうえ、しょうゆやみりんを使った家庭料理との相性が抜群なのもうれしいところ。

大手ワインメーカーから販売されている、手に入りやすく、お値段も手頃なラインナップを飲み比べるのも楽しい。サントリーから出ているのは、やわらかな口当たりが特徴の「ジャパンプレミアム マスカットベーリーA」と、ほんのり甘いロゼワインの「マスカットベーリーA ロゼ」。シャトーメルシャンからは、赤ワインの「穂坂マスカットベーリーA」と、ロゼのスパークリングワインに仕立てた「穂坂のあわ」をどうぞ。華やかなロゼのスパークリングワインは、普段使いはもちろん、お花見や女子会にもぴったり。

少しマニアックな1本が飲みたい人は、山梨県甲州市のワイナリー、ダイヤモンド酒造の「ますかっとベリーA Y3 cube (ワイキューブ)」をぜひ味わってみて。品種のチャーミングな魅力を存分に発揮しつつ、ボリュームのある料理にも負けない骨太の味わいに、マスカットベーリーAを飲み慣れた人でも驚くはず。
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今回、葉山先生は「良くないところはビシっと言っちゃいましょう!」というスタンス(笑)
私もクラスメートから改善点をいくつかいただきました。

- 「ふだんごはん」というなら、全部じゃなくていいけれど具体的に合うメニューを載せてほしい。
→ 痛いところですね。料理とのマリアージュを判断するのが苦手なのと、大手のやつは飲んだことないという...。インチキですわ。

- 川上善兵衛うんぬんは不要。
→ 女性向け雑誌ということで、うんちくは不要。

- 比喩を入れると奥行きが出るのでは。
→ 確かにその通り。引き出し少ない。

- ミステリアスなエッセンスがほしい。
→ ワインはロマンですからね。

やっぱり、自分が苦手なところを続々と指摘されるものです。それにしても、自分で書いてみると全然書けなくて、意に沿わないものでも書けちゃうプロのライターさんってすごいと思いました。

そして、先生が書き直してくださったバージョンがこちら。

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ふだんごはんをチャーミングに!日本ワインなら、マスカットベーリーAはいかが?

今、オシャレ女子は、国産のブドウで造る日本ワインに注目しています。白ワイン用のブドウ品種では甲州が有名ですが、赤ワイン用の品種もちゃんとあるんです!その代表選手が、マスカットベーリーA。「日本ワインの父」と呼ばれる川上善兵衛が、昭和の初めに日本の風土や食生活に合わせ交配しました(大富豪だったのに、ワインと葡萄の品種改良のため家財をなげうったそうです)。

マスカットベーリーAには、いちごやザクロを思わせる華やかな香りがあります。辛口でも、ほのぼのとした甘酸っぱさを感じるフレーバーが特徴。3月に大学を卒業して4月から女子高の先生になった新任の女性みたいなワインですね。ワイン初心者から上級者まで親しめるキュートな味わいです。その上、醤油や味醂を使った家庭料理との相性が抜群なのもうれしいところ。

大手ワインメーカーから販売されていて手に入りやすく、お値段も手頃なラインナップを飲み比べるのも楽しい。

サントリーから出ているのは、やわらかな口当たりで、音大ピアノ科を卒業して着任した音楽の先生的な「ジャパンプレミアム マスカットベーリーA」と、ほんのり甘くて、ピカソが大好きな美術の先生みたいな「マスカットベーリーA ロゼ」。シャトーメルシャンからは、毎朝、日経新聞を読んでいそうな世界史の先生みたいにかっちりした赤ワインに仕上げた「穂坂マスカットベーリーA」と、『JJ』から抜け出たようにスタイリッシュな英語の先生風のスパークリング・ロゼワインの「穂坂のあわ」をどうぞ。華やかなロゼのスパークリングワインは、普段使いはもちろん、お花見や女子会にもぴったり。

少しマニアックな1本が飲みたい人は、山梨県甲州市のワイナリー、ダイヤモンド酒造の「ますかっとベリーA Y3 cube (ワイキューブ)」をぜひ味わってみて。ペンシルスカートが官能的で大人の魅力が満載の物理の先生みたいで、品種のチャーミングな魅力を存分に発揮しつつ、ボリュームのある料理にも負けない骨太の味わいに、マスカットベーリーAを飲み慣れた人でも驚くはず。

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女性向け雑誌でワインを女性に例えるのは果たして効果的なのかはわかりませんが(笑)、やはり葉山節炸裂のステキな文章に生まれ変わりました。全員にdancyuクオリティの添削をされるわけですから、来てよかったなーと思うわけです。先生からは、本当に書くこと自体がお好きなんだなというパワーが伝わってきます。

ちなみに今回のワインで特筆すべきだったのは、ドメーヌ・レアンドル・シュヴァリエのブラン・ド・ノワール。なんと、カベルネソーヴィニヨンの白ワインですよ!最初、ビオのソーヴィニヨンブランかと思いました。クオリティが高い白ワインだけど、誰得!?  意外性抜群だから、ワイン会向きですね。
真ん中のやつ。左はメドック格付2級。
 (あ、調べたら生産者が来日してたんですね。)

授業後の飲み会で先生の前に座って緊張していたのですが、しばらく時間がたって酔っ払ってしまい、目があったときに思わず「今日、誕生日なんです...」と口を滑らせてしまいました。

すると、先生がダッシュでシャンパーニュを調達してくださるという身に余る幸せが!うわあああ恐縮。クラスメートからもお祝いの歌や言葉をいただき、本当にハッピーデイになりました。果報者。

ふだん、親しい人にしか「お誕生日おめでとう」と言わないし、自分の誕生日も伝えないようにしているので、こういう即興のお祝いって経験したことがほとんどないんですよね。なんか嬉しいなぁと素直に思って、みなさんに感謝しました。
シャンパーニュのワイヤーに
ろうそくをつけてもらって吹き消しました
本当にありがとうございました!順番にお祝いできるといいなー。

...そして、次回は甲州で男性誌にチャレンジかな!