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2015年5月31日日曜日

「努力せずにワインジャーナリストになろう」その2

2回目の授業。課題は締め切り日のお昼ごろ提出しました。
想定する媒体は、某新聞。読者として、あまりワインに詳しくない普通の人を想定しています。

何について書こうか迷ったのですが、日本ワインをテーマに選びました。

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日本ワインを楽しむ 

1日の締めくくりにおいしいワインを飲みたい。欲を言えば、ちょっとだけかっこよく飲みたい。でも、王道のフランスワインは複雑怪奇で、有名なものは高くて手が出ない。かといって、おいしくて値段も手頃なチリワインは、なんだか平凡で気分が上がらない。そんな隙間を埋める存在に成長しているのが、今の日本ワイン。ここ10年で、国産ブドウを使った日本ワインの品質は劇的に向上し、新しいワイナリーがいくつも設立されている。まだ歴史は浅い。だから、少し知識を蓄えるだけで追いつき、ぐんと楽しく飲めるようになる。 

これから数回にわたって、楽しく日本ワインを飲むためのポイントをお伝えする。今回は挨拶代わりの1本として、新潟県胎内市が運営している、胎内高原ワインのヴァン・ペティヤンをご紹介。ペティヤンとは微発泡ワインのこと。優しく包み込むような泡と、青りんごのようなフレッシュな味わいが疲れた夏の心と身体をじんわりと癒してくれる。1,944(税込)

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授業では、先生が受講生ひとりひとりの課題を取り上げて褒めちぎってくれます。褒めて伸ばす授業(まあ受講生は、ワインジャーナリストになろうという気はみじんもなく、気楽に来ているお客ですしねw)。
 
驚いたのは、褒めちぎるだけでは終わらなかったこと。葉山考太郎先生ご自身が「各自のコラムを自分が書いたらどうなるか」というお手本を全員分作るという、なんともありがたいおまけ付き...というか、実はこれが講座のキモではないか。
 
受講生は10人くらい。けっこうな人数が提出期限の17時ギリギリに出しているのにもかかわらず、19時開始の授業までに全員分のエッセイを書き直すなんて尋常じゃありません。しかも、フォーカスのしかた、文章の明確さ、ひねりかたなど、どの人のもdancyuに載っていそうなかっこいい記事に生まれ変わっている。
 
私のももちろん手が入れられていました。今の時点で許可をいただいていないため載せませんが、元の文章からは想像も付かないタイトルが付けられています。タイトルは大事。「なんじゃこりゃ、気になる!」と思わせないと読んでもらえませんから。
 
やはりプロってすごいよな....という圧倒的な力を目の当たりにできて、本当にありがたい講座です。
 
最後に、実際に某食通雑誌に寄稿された記事を配布して、解説してくださいました。
 
ちなみに授業では毎回2種類のワインが提供されます。今回はこちら。

エグリ・ウーリエ大好き!

シャンパーニュのエグリ・ウーリエと、ボルドーのメドック格付4級であるシャトー・ベイシュヴェル。しかし、自分の書いたものが次に紹介されるかと思うとヒヤヒヤで、飲んだ気がしないんですけどね...。

追記: 葉山先生の許可をいただいたので、書き直していただいたバージョンを掲載。

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セレブ俳優と学級委員長の間                                                    

1日の締めくくりにおいしいワインを飲みたい。欲を言えば、ちょっとだけかっこよく飲みたい。でも、王道のフランスワインは複雑怪奇で、有名なものは高くて手が出ない。映画のセレブ俳優みたいなもの。かといって、おいしくて値段も手頃なチリワインは、性格のよい学級委員長みたいに平凡でワクワク感がない。そんな2つの隙間を埋める存在に成長しているのが、今の日本ワインだ。ここ10年で国産ブドウを使った日本ワインの品質は劇的に向上し、新しいワイナリーがいくつも設立されている。まだ歴史は浅い。だから、少し知識を蓄えるだけでプロに追いつき、ぐんと楽しく飲める。

このシリーズでは、楽しく日本ワインを飲むためのポイントをお伝えする。今回は挨拶代わりの1本として、新潟県胎内市が運営する「胎内高原ワイン」のヴァン・ペティヤンをご紹介したい。ペティヤンとは微発泡ワインのこと。優しく包み込むような泡と、青りんごのようなフレッシュな味わいが疲れた夏の心と身体をじんわりと癒してくれる。1,944(税込)

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「努力せずにワインジャーナリストになろう」その1

見よ、このタイトル。

今でも予算の許す限りワインスクールに通っているのですが、今期選んだのが、タイトルの講座(笑)。月1回です。

「努力せずにワインジャーナリストになろう」なんていう大胆な講座名を付けるのは、日本にひとりしかいません。はい、ワインジャーナリストであり、有名な著作や訳書も多い葉山考太郎先生です。ワインが好きな人もそうでない人も、一度くらいはその軽妙で誰でにも分かりやすい文章を本や雑誌で目にしているはず。

ワインジャーナリストになるかどうかはともかく、毎回ワインにまつわる文章を書いて提出すると、それを先生に批評していただけるということで、それに惹かれて受講することにしました。

先月の初回の授業では、ワインジャーナリズム業界のしくみや文章の書き方などが楽しく語られました。「ワインジャーナリストは1ダースで十分?」に始まり、「ワインジャーナリストだけでは食えない?」、原稿料や印税の現実など、どこの業界も一緒ね...みたいな状況で、要は「ワインジャーナリストと名乗るのは自由、でも稼げません」ということです。当然ですわね。

(余談ですが、葉山先生によると、日本においてワインジャーナリスト専業で食べている人はおそらくひとりだけとのこと。このへんは翻訳業界とは異なります。先生もきっとワインだけで食べていけるのでしょうが、もともと本業はソフトウェア関係とどこかで読みました。パズル本の編集もされていますし、超多才な方です。)

今月からはいよいよ受講生がそれぞれ書く番。

課題は、自分がコラムを書きたい媒体、コラムのコンセプト、タイトルを決め、400字程度で1本書くこと。あとペンネームを決めること(先生のお名前も、住んでいる場所+ご子息の名前というペンネーム)。締め切りは授業当日の17時です。

(続きます)



2015年5月28日木曜日

WSET Level 3 (1): ブドウ原品種、品種、台木 (Grape Species, Varieties and Rootstocks) その2

第1章の続きです。後半は主要品種の紹介。

黒ブドウは、ピノノワール、カベルネソーヴィニヨン、メルロー、シラー(シラーズ)、グルナッシュ(ガルナッチャ)、サンジョヴェーゼ、テンプラニーリョという納得のセレクションなのですが、面白いのが白ブドウ。

シャルドネ、ソーヴィニヨンブラン、リースリング... までは良いとして、残りがピノグリ(ピノグリージョ)、ヴィオニエ、マスカットなのですね。シュナンブラン、セミヨン、ゲヴェルツトラミネールではない。

これがWSETの個性ですかな。どこかのブログで読んだのは、WSETは流通視点だから、売れるもの重視ということ。ヴィオニエ好きの私が拾いますが、ヴィオニエの項目は "Viognier is becoming increasingly fashionable." という書き出しです。この教科書は2011年、第2版は2012年出版ですから、まあまあ最近。ヴィオニエ、ブレークですね。

というわけで、第2章の栽培環境にまいります。


2015年5月24日日曜日

WSET Level 3 (1): ブドウ原品種、品種、台木 (Grape Species, Varieties and Rootstocks) その1

資格試験に合格したら、覚えたことを忘れないうちにWSETを受けるといいですよ、とアドバイスされてすでに半年以上。試験で暗記したあれこれはすでに忘却の彼方...。

WSETとは、Wine & Spirit Education Trustの略で、ロンドンに本部を置く世界最大のワイン教育機関です。認定試験はLevel 1から5まであり、1から3までは日本語でも受けることができます。

日本の呼称資格レベルだと、日本語で受験する場合はInternational Higher Certificate、英語で受験する場合はLevel 3の難易度が同等となります。この辺、ちょっとわかりづらい。

難易度は同等といっても、日本ソムリエ協会が提供する試験とは趣旨がまったく違う模様。WSETの本拠地イギリスは、ワインの取引や流通で歴史的に影響力の大きい国。WSETも流通という側面からみたワインに重点が置かれているようです。

私はLevel 3 (英語) をいつか受験しようと思っていますが、受験はおまけで、大事なことが2つあります。

1. 復習: せっかく勉強したのに、このままでは忘れる一方であるため。なんかこれ、エキスパート受験のときも言ってた気がするけど...。

2. ワイン英語の勉強: ごくたまにワインに関係する翻訳の依頼をいただくのですが、調べ物に時間がかかる。日本語と英語を結び付ける力がまだ足りていない。英語と日本語の両方でもっと専門用語に慣れておきたい。

というわけで、挫折しそうな雰囲気が今からみなぎっておりますが、ぼちぼちテキストを読みこなして行く予定。ブログには、気になった用語をピックアップしていきます。

今回はこちら。

One Year Old Wood
説明を読んでも最初はイマイチピンとこなかったのだが、新梢 (1年枝) のことらしい。2年枝以上になると、Permanent Woodと呼ばれる。これ、日本語ではなんだろう。結果母枝かな。

Crossings
交配。ワインの世界では、欧州系原品種であるヴィティスヴィニフェラの品種同士を掛け合わせること。たとえば、カベルネソーヴィニヨンは、ソーヴィニヨンブランとカベルネフランの自然交配で生まれたもの。

Hybrids
こちらは「交雑」で、異なる原品種を掛け合わせること。テキストの例であれば、19世紀後半にフィロキセラという根につく害虫が原因でヨーロッパのブドウが壊滅的になったとき、耐性のある米系品種とヴィティスヴィニフェラ系品種で交雑を行ったらしい。1950年に禁止されるまではその木でブドウも造っていたように読めるけれど、現在でも交雑したものは台木としての用途が主だと思う。
(ブドウは地中の台木部分と、地上部分の穂木を接木して栽培。台木が米系、穂木がヴィティスヴィニフェラというのが普通。)

ということは、日本の代表的黒ブドウ、マスカットベーリーAは、米系のベーリーとヴィティスヴィニフェラのマスカットハンブルグの「交雑」品種であるわけですね。

続きます...。うーん、挫折しそう...。

2015年5月22日金曜日

クラシック・ナパ・ヴァレー カベルネ・ソーヴィニヨン / クロ・デュ・ヴァル

1か月以上も放置して、このブログの存在を忘れたかのように生きておりました。

その間にお気に入りのワインバーを見つけたりしていたのですが、今回はテイスティングメモを。

家でひっさびさに牛肉を焼いた日に、セラーで2年ほど熟睡していたこのカリフォルニアワインを開けました。

カリフォルニアワインを世界的に有名にした1976年のパリ対決から10年。1986年の雪辱戦でもフランスワインを返り討ちにしたワインだそう。


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クラシック・ナパ・ヴァレー カベルネ・ソーヴィニヨン
産地: カリフォルニア州、ナパバレー
生産者: Clos Du Val
ヴィンテージ:  2009年
品種: カベルネソーヴィニヨン 100%
アルコール度数: 13.5%
価格: 忘れた...。最新ヴィンテージは5000円前後
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カベルネソーヴィニヨンだけれど、青臭さはまったくない。完熟だし、2009年だから飲み頃なんでしょう。
タンニンは強いけれど、エレガントでシルキーな感触。すばらしい。
香りはチョコレートや黒い果実が迫ります。フレッシュフルーツというよりは、ジャムっぽい。
スパイシーだし、酸味もほどよい。

さすがの1本です。肉好きな方はお誕生日とか、特別な機会にぜひ。

それにしても、うーん、あかん、自分のテイスティング力が落ちてるなーと感じる....。まじめに飲まねばいかんです。